商業出版している著者さんが「教材」を作る理由

教材戦略的に考察すると…?

· コラム

今日はいつも以上にマニアックなテーマでお届けします^^

私は普段、いろんなタイプのお客様の教材制作のお手伝いをさせてもらっています。

  • 講座やセミナーを主催している個人起業家の方
  • フリーランスで講師業をされている方
  • 協会の理事や事務局として講座開発をされている方
  • 企業や団体の人事/研修を担当されている方
  • セミナー事業をされている士業の方

などなど、幅広い属性・専門領域をお持ちのクライアントさんがいるのですが、あるとき、その中に「1つの共通カテゴリー」で括れる人たちがいることに気づいたのです。

それは…「著者さん」!

なぜか私のクライアントさんには、「ご自身」または「所属している会社や団体」として商業出版されている方が何名もいらっしゃるのです。

なぜだろう? 偶然かな? と、とても不思議に思いました。

最初に思い至った要因

当初、私が思いつく要因はこんなものでした。

  • 私自身が出版セミナーに通っていたことがあるので、たまたまそこで知り合った方々に私のサービスが認知されたのでは?
  • 「本を書きたい」と「テキストを作りたい」には、「自分のコンテンツを見える形にしたい」という共通のインサイトがあるのでは?

ですが、あるときこんなことをお話くださったクライアントさんがいて、「確かに!!!」と大納得したのです。

著者・Aさん

書籍に書けたのは、自分が伝えたかったことのほんの一部。

書籍で扱えなかった内容を、オリジナル教材やテキストにして、受講生に手渡したい。

著者・Bさん

出版前は「書籍があれば、自分の講座や研修の教材として使える」と漠然と思っていたけれど、書籍だけじゃ受講生に成果を出してもらうことはできませんでした^^;

不足している部分をオリジナル教材やテキストにして、受講生に手渡したいんです。

これはどういうことでしょうか。

教材戦略アカデミーの講座やセミナーを受講された方や勘の鋭い方は、もうお分かりかもしれません。

「教材戦略的考察」から見えてきた要因

「教材戦略」の視点から、Aさん、Bさんのニーズの裏側にある要因を考察したいと思います。

要因①:

商業出版する本には、自分が書きたいことを書けるわけではない!

一般的に商業出版は「より多くの幅広い読者層に向けて、特定の切り口からごく限定的なメッセージを伝えるもの」(もちろん特定業界専門の出版社さんもあるので、全部が全部ではありませんが)。

出版社や編集者さんの意向で「こういうターゲットに対して、このテーマで知識やノウハウを伝えましょう」という方針が決められ、それに沿って原稿を書いていくことになります。そのため、必ずしも自分が書きたいことを書けるわけではないのです。

➡︎ Aさんのような「書籍には書けなかったことを、自分で作るテキストには思う存分書きたい」というニーズが生まれる。

要因②:

「書籍のゴール」と「講座のゴール」は違う!

基本的に書籍が目指せるゴールは「知識習得」(わからなかったことがわかった、知らなかったことが知れた)まで。

一方、講座や研修では、知識だけではなく「実践的スキルの習得」、さらにその先の「習慣化」(できなかったことができるようになる、行動が変わる等)がゴールである場合が多いです(もちろん「知識取得」だけをゴールとした講演会やセミナーもありますが)。そのため、実践的スキルの習得や習慣化を目指す講座の中では、書籍が果たせる役割はとても限定的なのです。

➡︎ Bさんのような「受講生に成果を出してもらうには知識習得のための教材(=書籍)だけじゃ不十分。学んだ知識を自分ごとに置き換えて実践してもらうための教材が必要」というニーズが生まれる。

いかがでしょうか?^^

これが、商業出版している著者が「教材」を作る理由。

私はこのように分析しました!

 

【コラム】では、教材コンサルタントならではマニアックな視点から、いろんな物事や事象を分析・解説しています。

最後までお付き合いいただき、ありがとうございました!

所長:矢澤典子